2016年8月の読書メーター
読んだ本の数:14冊 読んだページ数:3134ページ ナイス数:131ナイス 天智と天武-新説・日本書紀- 11 (ビッグコミックス)の感想 主人公二人は当の昔に世を去った二人の曾孫である聖武天皇の時代。皇后は、皇族以外で初めてその位についた鎌足の孫光明子。兄達の病死や反乱、皇子の夭折に天皇の体調不良と彼女に次々降りかかる災難は蘇我入鹿の祟りなのか。それを指摘しのは大友皇子の孫と名乗る僧の行信。彼もまた二人の子孫か。彼ら子孫達が行った「夢殿救世観音封印と聖徳太子伝説の流布」はその後千数百年にわたり語り継がれ、岡倉天心につながる訳ですね。時代を超えた「天智と天武」の愛憎、物語の冒頭が何故あの場面だったのか納得。それだけに最終話に救われた思い。 読了日:8月31日 著者:中村真理子園村昌弘 天智と天武-新説・日本書紀- 10 (ビッグコミックス)の感想 ついに壬申の乱、この物語ではどう描かれるのか楽しみにしていた。大友皇子は「我に力を」と神に願ったが、まるで父の霊を呼び寄せたかの様に天智にそっくり。大海人に対する愛憎も受け継いでいる様な結末が切ない。その大海人はファザコン。藤原四兄弟の病死も長屋王の怨念ではなく、そう来ましたか! それで聖徳太子の救世観音に結びつくのね。 読了日:8月31日 著者: あれよ星屑 5 (ビームコミックス)の感想 やっぱりこの物語の女性たちは逞しい。フミちゃんのしたたかさを憎み切れないのも、カンナの負け惜しみかもしれないけど大らかな反応があるから。騙されて痛い目を見た男達もそれに救われている。それに引き換え班長父の生き様は、潔いというより頑なで悲しい。前回に引き続き義姉さんが心配。 読了日:8月29日 著者:山田参助 ルドルフ ともだち ひとりだち (児童文学創作シリーズ)の感想 まさにルドルフ「ひとりだち」への物語。一匹で東京に来てしまった時から、プライドを持った負けず嫌いな面はあったけど、イッパイアッテナ達とのノラ猫生活ですっかり逞しく成長したね。リエちゃんちへたどり着いた時の展開は泣けました。あの台詞を子猫ちゃんに言ったルドルフは、もう立派な一人(猫)前のノラ猫です! 読了日:8月27日 著者:斉藤洋 午後二時の証言者たちの感想 職場のパート仲間が紹介してくれた作品。初読み作家さん。冒頭の章でひとつの事件が完結したのかと思ってしまったが、そこからが全ての始まりだった。中々面白い構成で、次の章でその事に気付いてからググッと物語に引き込まれた。 読了日:8月25日 著者:天野節子 [図解]池上彰の 世界の宗教が面白いほどわかる本 (中経の文庫)の感想 他の池上さんの本を読んで、世界状況を知るには世界の宗教を知らなければと読みました。例えば世界の宗教年表とか、もう少し全体を把握出来ると更に良かったかな、と思いますが、現在の社会情勢と宗教の関係を知る入門書として、とてもわかりやすかった。 読了日:8月24日 著者:池上彰 シンプルに考えるの感想 ユーザーの為になりユーザーを幸せにする事。企業が追求するのは「ユーザーのニーズに応える」それだけ。その妨げになる無駄なルールや会議、トップダウンも足を引張る人を生む競争も不要。必要なのは、本来の目的に向かって主体的に動きとことん努力をする事。確かにシンプルだが、甘えを許さぬ厳しさがある。近頃職場でイラッとするのは主体性のなさと待ちの姿勢。嫌な気分になるのは報われなさと自分の甘え根性。「シンプル」心掛けましょう。 読了日:8月22日 著者:森川亮 ルドルフとイッパイアッテナの感想 息子が小さい頃、NHKのテレビ絵本で見ていて大好きだった(私が)。映画の宣伝を見て懐かしくなり図書館で借りた。好奇心旺盛で真っ直ぐな、まだ成長期のルドルフと、経験を積んで物知りのイッパイアッテナ。兄貴肌なのに一匹狼(猫だが)のイッパイアッテナが、何故ルドルフに色々教え様と思ったのか。兄貴がチビの成長を促すだけじゃなく、若いルドルフがイッパイアッテナの頑なな部分を変えていく。二匹の心意気に思わず涙の場面もあった。 読了日:8月20日 著者:斉藤洋 新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方 (文春新書)の感想 ウクライナ・クリミアとロシア、スコットランドとイギリスの関係なのど、ニュースで聞く世界情勢の歴史的背景が少し解った。中東やウイグル問題なども含め、その歴史には必ず宗教が絡んでおり、今後更にややこしい事になって行きそうな火種を抱えている事を改めて知った。佐藤さん曰くジャーナリストとしての職業的良心に忠実な池上さんと、踏み込んだ発言もする佐藤さんのバランスが絶妙。今年もお二人での刊行希望。 読了日:8月14日 著者:池上彰,佐藤優 あれよ星屑 4 (ビームコミックス)の感想 終戦後の混乱を日々逞しく生きる人々がいる中、戦争の痛手から立ち直れない川島班長。今回彼の生い立ちが語られ、父親との確執や兄弟との死別など、戦争そのものだけでなく、息子たちを立派な軍人に育てる事しか考えていなかった父親を中心とした家庭の問題もあった事がわかり、更につらい。再会したそのお父さんも失踪(?)してしまうし、兄嫁さんもどうなっちゃうのか心配。能天気に見えて、班長を色々気遣う門松、スケベだけどいい奴だ。そして舞台はストリップ劇場へ。この女性たちの前向きな逞しさが救いだ。お義姉さんも頑張って! 読了日:8月11日 著者:山田参助 孔明のヨメ。(6) (まんがタイムコミックス)の感想 阿斗ちゃんも生まれ、新野で一時の平穏を得ている劉備さんに迫る危機。襄陽で仲良く荘園の経営に勤しむ孔明夫妻の平和な日々も後少し。徐庶さんの就活問題も解決したし、いよいよ三国志な展開に突入でワクワクする一方、孔明の才能と将来を考える月英さんの内心を思うとちょっと辛い。曹操の紙の話や、巻末の三国志時代の風習ネタも面白かった。 読了日:8月10日 著者:杜康潤 ゴジラとエヴァンゲリオン (新潮新書)の感想 エヴァは話題になってから劇場版を観たが、映画ではよく解らずその後TV版のビデオをレンタルしまくった。庵野監督と同世代だという事と、「スキゾ」「パラノ」だったと思うが、シンジは14才の自分ではなく今の自分だ、と言っていた事に興味を持った。その庵野監督が何故今ゴジラなのか、ちょうどど映画も観たところだったので、タイムリーかなと読んでみた。ゴジラ誕生の話は知っていたが、映画を観るのは今作が初めてだったので、その歴史がわかったのは良かった。考察や謎解きという面ではちょっと物足りなかったかな。 読了日:8月5日 著者:長山靖生 プラチナエンド 3 (ジャンプコミックス)の感想 新刊を楽しみにしていたのだが、読み始めるのにちょっと覚悟もいる作品。そもそも他者との関わりに絶望して自殺しようとした主人公の明日(ミライ)に、この過酷な状況は罰なのか? 傍観することが許されないというのは厳しい。 読了日:8月5日 著者:小畑健 「反戦・脱原発リベラル」はなぜ敗北するのか (ちくま新書)の感想 参院選そして都知事選も野党連合は敗北に終わった。リベラル派が感情的反対に訴えるのみで実現可能を期待させる具体的政策を提案出来ていない事は事実だ。著者に、そら見たことかと言われた様な気がする。本書に述べられている事には、反戦ではあるがデモにさえ参加していない一市民として、確かにそうだと反省を促される事もある。脅威となる様な実力を伴わない自己満足では世の中は動かない、言われている事には納得もする。だが著者はどういう立場なのか。何はともわれ実際に行動を起こした人々に対し、評論家的視点から批判されて不快感も残る。 読了日:8月1日 著者:浅羽通明 読書メーター #
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| 2016-09-01 09:56
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2016年7月の読書メーター
読んだ本の数:18冊 読んだページ数:3900ページ ナイス数:142ナイス アイズオンリー (SHYノベルス299)の感想 アイズ・オンリーは、閲覧者にメモや複写を許さない「目で見るだけ」の秘密書類を意味するそうだ。人の顔などを認識記憶する事が困難な縁(ゆかり)は、子どもの頃全盲だったかずくんと図書館で知り合い仲良くなった。縁は白杖を持っている彼の事だけは認識出来たので、日々彼の為に本を読み聞かせた。見えても記憶出来ない事と、見えないけど別の方法で認識出来る事はどう違うのかな。大人になって、手術で視力を得た数真と会った縁。足りない何かを補い合うだけでなく、それ故に更に理解し合える様になりそう。 読了日:7月29日 著者:一穂ミチ ロードムービー (講談社文庫)の感想 「冷たい校舎」の、大人になったあの子たち登場(小学生時代もあり)の短編集。小中高校時代、今は苦しくても、そのうち大丈夫になる。行きたいけど、何処にもないと思っている遠くの場所が、気づいたら手には入っている時がいつか来る。イジメとかコンプレックス、苦しい思春期の物語にも未来という希望がある。 読了日:7月28日 著者:辻村深月 月影ベイベ 7 (フラワーコミックスアルファ)の感想 光の告白で揺らぐ蛍子の乙女心。そして大好きな円はじめ、母を知る人々が自分の中に母を見ている事で、自身の存在意義に虚しさをも感じる。蛍子だって、円に何を求めているのかな? いよいよ亡き母の想いを知ることになりそうだけど、乗り切っておくれよ! 読了日:7月25日 著者:小玉ユキ ひだまりが聴こえる-幸福論- (Canna Comics)の感想 前巻最後の太一のつぶやきで両思いになるんだ、と思ったのに、色々大変でしたね。でもおかげで2人とも成長したな。当事者に寄り添う気持ちと想像力。花粉症のエピソードで、難聴当事者である航平も別の側面ではその当事者を思いやる必要に気付いたが、私もハッとさせられた。太一も自分の道を見つけた様で一安心。もう大丈夫そう幸せにね、と心で完結を祝ったら、後書きで更に続編があると知り嬉しくなった。今作表紙は明るい桜の木漏れ日の中の2人。前巻は初夏の若葉、次はどんな表紙かな、それも楽しみ。 読了日:7月25日 著者:文乃ゆき ひだまりが聴こえる (Canna Comics)の感想 続編「幸福論」を読む前に復習。叙情を感じる表紙の雰囲気とはギャップのある太一というキャラには、最初やっぱり驚く。表紙は航平の心象風景なのだろう、きっと。太一と出会って世界が広がった航平。航平と出会って自分の内面と向き合う事になる太一。続編での進展が楽しみ。 読了日:7月24日 著者:文乃ゆき くじけないで 文庫版の感想 90代から息子さんの勧めで詩を書き始めたというトヨさん。いつも周囲の人々への感謝の気持ちを抱いて、それを励みにしている生き方が詩に紡がれる。白寿を迎えてなお父母を想う娘であり、還暦を過ぎた息子を心配する母でもある。亡き夫にあの世で会うのを楽しみに、でも「早くお迎えに来て」とは言わないトヨさんの、日々を大切に前向きに生きる姿に、こちらが励まされる。八千草薫さんの映画を観たので、詩が八千草さんの声で響いて来る様だった。 読了日:7月23日 著者:柴田トヨ 日本文化私観の感想 NHK100分de名著「堕落論」で紹介されていて、伝統の様式美礼賛への異議申し立てが面白いと思い読んでみた。堕落論同様、世間の常識と言われる価値観より、実質目的にのみ適したモノ、自身にとって有益なモノに美や価値を認める安吾の論法。自分の価値観を根底から見直させられる。 読了日:7月21日 著者:坂口安吾 言ノ葉便り (言ノ葉ノ花)の感想 シリーズ第1作「言ノ葉ノ花」の家電量販店で働く長谷部・余村の続編。同人誌や冊子で発表された短編をまとめ昨年単行本で刊行された作品。この度電子化されたのでそちらで読了。この2人が好きだったのでその後が読めて嬉しい。ほのぼのしたデートの話と、家族との関係を克服していくちょっとシリアスな問題。色々あっても幸せになっていく姿を見られて良かった。ただ短編集なので各話毎のBLなシーンにちょっと食傷気味で飛ばし読み(笑) 読了日:7月19日 著者:砂原糖子 50オトコはなぜ劣化したのか (小学館新書)の感想 私は香山さんとほぼ同世代。夫は同い年で職場プロジェクトの責任者、私の職場の部長や地元小中学校の校長先生方も同世代、と周りの50オトコは職場で責任ある立場にあり大変な世代。香山さんに同意する部分も多々あるが、今以上に何かを求めるのも酷な気がした。でもエールでもあるんですよね。それより、香山さんの言う50オトコへの批判は50オンナの自分にも当てはまると、結構凹んでいる。 読了日:7月17日 著者:香山リカ 堕落論の感想 NHK100分de名著の今月の本、という事で再読。 読了日:7月13日 著者:坂口安吾 おうちのありか~イエスかノーか半分か 3~ (ディアプラス文庫)の感想 ちょうど参議院選挙でタイムリーな選挙ネタだったが、まさか潮の出自がそちらだったとは! 柔軟な強さを持ってる、と思ってた潮の意外な弱点だった。案外ヘタレじゃないのと心配したが、計が頑張った。硬質な強さだけに脆い所もありそうな計が、潮と出会って変わった。表紙の2人の様に幸せになれそうで良かった。表紙にも飴ちゃんが散りばめられているが、江波ジイが似合わぬキューピットだったのかも。 読了日:7月13日 著者:一穂ミチ 重要参考人探偵 3 (フラワーコミックスアルファ)の感想 仕事柄カッコいいはずなのに、何だかシャキッとしない雰囲気の御三方。死体に遭遇しやすい特異体質は気の毒だけど、異変に気付いたら素早く通報を! そして事件のあれこれより気になるのは、圭とお父さん(?)の過去。 読了日:7月10日 著者:絹田村子 百鬼夜行抄 25 (Nemuki+コミックス)の感想 蝸牛さんの若い頃のお話をはじめ、飯島家の方々が多く登場。青嵐やあのお手伝いさんが飯島家に来た頃の事もあり、開さんの不思議な契約の事など、飯島家の謎に迫るお話。青嵐も弱っている様子もし、それらを背負う事になる律くんの負担が大きそうで、これから展開が心配。 読了日:7月8日 著者:今市子 日本人のための「集団的自衛権」入門 (新潮新書 558)の感想 TVなどで見る石破さんのお話しは解りやすく、反対意見の者も聞く耳を持つ気になれる、と思い読んでみた。現憲法で個別的自衛権を放棄してはいない事は読み取れるが、集団的自衛権はどうなんだろう、思っていた。石破さんの説明では、国連憲章に鑑みて主権国家である以上個別的自衛権と集団的自衛権はセットで有しており、その運用は政治判断によるものでるから、あくまで戦争を回避するために必要なのだという事。それは解るのだが、その政治判断が心配なのである。石破さんのいる与党は大丈夫かもしれないが今後拡大解釈乱用する危険はないのか? 読了日:7月8日 著者:石破茂 ポーの一族 復刻版 2 (フラワーコミックス)の感想 エドガーとメリーベルの出自、ポーの一族となった経緯か語られる。彼らはあの一族の村で生まれた訳ではなかったのだ。妹だけでも助けようとしたエドガーの思いが、全く報われない悲しい巡り合わせ。切な過ぎる。出生の秘密と過酷な運命、当時乙女ちっく系の少女漫画やドラマにもそういうお話があったなぁ、とちょっと時代を感じた。 読了日:7月3日 著者:萩尾望都 拝み屋横丁顚末記 25巻 (ZERO-SUMコミックス)の感想 店子のおかげで大家さんに降りかかる災難の数々、今回も楽しませていただきました。先代まで問題持ち込んで来るし! 先代が大家だった頃の横丁ってどんなだったんだろう、と不安に(笑) ゆるキャラ静ちゃんのお話も良かった。読み終わって、裏表紙の二人にほっこり。 読了日:7月3日 著者:宮本福助 思い出のとき修理します 4 永久時計を胸に (集英社文庫)の感想 電子化を待ってようやく読めた完結編。商店街も寂れて行くだけじゃなく、新しい変化があったり、そこで育まれ人間関係に力をもらう人達もいる。明里と秀司もそうだった。太一もそうなのだろう、人であろうとなかろうと。 読了日:7月2日 著者:谷瑞恵 性のタブーのない日本 (集英社新書)の感想 古事記から始まり、源氏物語 、俳諧、歌舞伎と文学の中の性表現。古代から摂関政治・院政期の権力者達の婚姻関係が歴史を動かした事や遊女の歴史。性から見た日本史、興味深いお話だった。春画は結構過激だが、文章での直接表現がない古典、「タブーはないがモラルはある」はなるほど。摂関政治全から院政政治への移行の背景に、道長の長男に后となる娘がいなかった事にあり、その原因は母や后だった姉妹の力か大き過ぎて女性嫌いになったから(?)説、考えた事 ないが納得。勿論、左府頼長様んp事も語られている。 読了日:7月1日 著者:橋本治 読書メーター #
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| 2016-08-01 10:15
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2016年6月の読書メーター
読んだ本の数:18冊 リリーのすべて (ハヤカワ文庫NV)の感想 映画で、リリーが自分らしく生きる為に命をかける姿に衝撃を受け、原作があると知り読んでみた。妻のグレタが映画では北欧女性のイメージじゃないのが違和感だったが、この原作ではアメリカ人の設定なので納得。後書に「映画ではデンマーク人の設定」とあったが、やはりアメリカ人の方が納得いく性格だった。原作を読んで改めて、彼女がアイナーをどれだけ愛しそれ故にリリーも愛したが、喪失の苦しみもよりわかった。また、リリーが女性になる事を望み命さえかけながら、後悔とは違う逡巡をする姿に、自分らしくとは何か考えさせられた。 読了日:6月29日 著者:デイヴィッド・エバーショフ 竹と樹のマンガ文化論 (小学館新書)の感想 気になるお二人の対談たっだので書店で見つけて即買いしたのに積んでいた。この度「少年の名はジルベール」に続けてやっと読めた。デビューからプロの漫画家として覚悟や苦悩の後に、後進に伝える立場になってからのお話を聞く、という流れで結果的に良かった。マンガと文学の違いはあれど、大学で学生に教える側であるお二人が、レポートや論文を教師に採点される為ではなく読者を想定して書く指導をしているのが印象に残った。プロの表現者を目指す人なら必須の事だが、我々も心掛ける必要があるなと思う。 読了日:6月26日 著者:竹宮惠子,内田樹 ポーの一族 復刻版 1 (フラワーコミックス)の感想 復刻を機に初読み。発表当時、乙女ちっく「りぼん」を愛好していた私は、萩尾作品だけでなく竹宮さんも山岸さんもリアルタイムでは読んでいなかった。惜しい事をした。今初めて読んでも惹かれる物語だ。曾孫に受け継がれた日記の話、30年前の初恋の少女に再開する話、いつまでも変わらぬ若さで存在し続ける一族の運命の不思議を、苦楽を生きて老い命を終える人々に重ねて人生を語っている様だ。一族の名前「ポー」って何だろうと思っていたが、エドガー・ア ラン・ポーだったのね。主人公の名前を知るまで気が付かなかった。 読了日:6月25日 著者:萩尾望都 阿・吽 4 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)の感想 相変わらず鬼気迫る画に圧倒される。権力への執着と罪の意識が生み出恐怖、女性陣の貪欲さ、空海や最澄の求道という欲求、その凄まじさを物語る迫力ある表現がすごい。善も悪も、聖も汚も、同じ地平にある人間の欲望から生まれているんだと、何か怖ろしくなる。薬子が宮中を追放された事が最澄に入唐の機会を与えたけれど、空海はどうやって最澄らと遣唐船に乗ることが出来るのか。和気清麻呂ジュニアSとこれからも関わりがあるのか。薬子の変ってどうなるの~とかも含め、これからがいよいよ楽しみ。 読了日:6月25日 著者:おかざき真里 山岸凉子『日出処の天子』と古代飛鳥の旅の感想 美しく懐かしい表紙の王子の絵に惹かれて購入。懐かしいと言っても「日出処の天子」を読んだのは数年前、文庫版で。なので、巻頭ギャラリーで初めて見るカラー原画の素晴らしさに圧倒された。これだけでも買って良かった。複雑な人間関係など細かい所をすっかり忘れていたので、復習にもなって、更にお得感が。もちろん現在の飛鳥の写真や地図も参考になった。積んでいる「隠された十字架」も読まなければ! 読了日:6月25日 著者: いとしの猫っ毛5 初回限定版 (シトロンコミックス)の感想 初っぱなほのぼのラブラブバカップル気味の2人でしたが、みいくんの子どもの頃のアルバムや恵ちゃんの祖父の葬儀のエピソードで、家族のとの関係を思う場面にホロリ。そして突然の結婚決意! 家族とのお話もそこへの前段だったのね。終盤のカラー頁が嬉しかった。完結かと思ったら、まだ続く様なので良かった。 読了日:6月24日 著者:雲田はるこ 少年の名はジルベールの感想 「大泉サロン」は聞いた事があったが、竹宮さんと萩尾さんが同居されていた事も、増山さんがここまでプロデューサー的役割をされていた事も知らなかった。「風と木」を世に出す大変さは想像がついたが、竹宮さんがあんなに漫画家として葛藤し苦しんでおられた事も初めて知った。その当時、竹宮さんや萩尾さんの作品名を知っていても全く読んでいなかった私が、すっかりオバさんになった今読んで、自分を振り返る機会にもなった。 読了日:6月20日 著者:竹宮惠子 思い出のとき修理します 3 空からの時報 (集英社文庫)の感想 シリーズ3作目。秀司との関係が深まって行くと同時に、明里が商店街の人達とも親しくなって、津雲神社通り商店街ワールドを一層魅力的にしている。今作は父子関係を中心に、家族の歴史にまつわる物語で、涙を誘われた。最新4巻で完結だそうで続きが気になるが、電子化を待とう。 読了日:6月19日 著者:谷瑞恵 思い出のとき修理します 2 明日を動かす歯車 (集英社文庫)の感想 息子が小学生の頃、ある子育て講演会で「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」と言う言葉を聞きとても納得した。この物語は更にその先を行き、「自分と未来を変える」気づきと勇気によって「過去の記憶と他人の思い」も変えてしまう。もちろん、より良い未来のために。 読了日:6月18日 著者:谷瑞恵 思い出のとき修理します (集英社文庫)の感想 書店で見かけて気になっていた作品。最新4巻が出たのを機会に電子版で読んでみた。タイトル通り、後悔や忘れたい様な思い出を再認識し、過去を乗り越えて今からを生きようとする物語。舞台は、地元神社の名を冠するだけにどこか不思議な異界めいた感じもする寂れた商店街。時計屋さんと明里の思い出は修理された様だけど、太一くんが未だ謎の存在。 読了日:6月14日 著者:谷瑞恵 風と木の詩をうたったとき 漫画家・教育者、竹宮恵子さんの語る「創作と教育」 (朝日新聞デジタルSELECT)の感想 短期新聞連載のインタビュー記事を電子書籍化したものなので、ちょっと物足りない。竹宮さんのデビュー秘話や、「風と木」のジルベールが少年である理由などもう少し詳しくお聞きしたいと思った。大学教授になられたのも大変と思っていたが、今では学長をされているというから更に大変そうだ。 読了日:6月12日 著者:朝日新聞 BL進化論 ボーイズラブが社会を動かすの感想 パソ通仲間からJUNEな作品を紹介され、好奇心から読んでみたらすっかりハマって早20年。丁度このジャンルがBLという呼称で定着する過程だった様な。愛を求め共依存から破滅へ向かうようなJUNE作品から、親子の様な愛を得て互いに社会的自立へ向かう様な対幻想&自己実現BLへの変遷と感じていたが、そこにセクシャリティへの理解という進化もあったのか!著者溝口先生、12日0:50(11日深夜)NHK総合放送「指原(さし)ペディア」にご出演の様です。 読了日:6月9日 著者:溝口彰子 何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術の感想 「なるほど」と参考になること、「そうそう」と共感すること、双方わかりやすく納得の指南書。貢献、目的、反応、常に読者を意識して書く、それが重要なポイント。読メは自分のための備忘録だが、実践してみようと思ったら、ちょっと緊張する。 読了日:6月8日 著者:山口拓朗 書店ガール 5 (PHP文芸文庫)の感想 前作では主人公交代でちょっと寂しく思ったが、今作では取手駅中の小さな書店で奮闘する彩加の姿にググッと引き込まれた。個人的に近頃気になるライトノベルに関する事で、ラノベ文庫編集長になった小幡夫とも接点があったり、理子&亜紀シリーズ同様に楽しめた。私も大好きなBL作品も話題に上って何だか嬉しくなった。教養として読む本だけじゃなく、娯楽や嗜好として読む本が人生の転機になる事もある。本とリアル書店が一層愛しくなる作品だった。 読了日:6月5日 著者:碧野圭 つくものはなし (1) (バーズコミックス ルチルコレクション)の感想 付喪神は神様というより妖(あやかし)っぽい。ここに登場の皆さんは、本体の個性や来歴を反映しつつ、人間味があって可愛らしい(子どもっぽいともいう)性格らしい。携帯電話さえ使うアメの本体が非常に気になる。今回はアンティークドールのココの思い出にホロリとさせられたけど、他の皆さんの過去も語られるのかな。彼らと付き合いながら、桂太がどう成長するのか楽しみ。 読了日:6月5日 著者:山本小鉄子神奈木智(原著) 僕だけがいない街 (8) (カドカワコミックス・エース)の感想 アニメと実写映画は観たが、映画のラストの報われなさがちょっと悲しかったので、原作を最終巻だけ読んでみた。やっぱりこの原作のラストが一番良かったかな。悟と八代、探り合い対立しながら互いを知りそれぞれの目的に向う緊張感。相反するのに表裏一体の様な不思議な感情を抱かされた。 読了日:6月4日 著者:三部けい リベラルですが、何か? (イースト新書)の感想 香山さんとほぼ同世代なので、学生時代から自分は基本リベラルと思っていたし、世の中も戦後民主主義の流れでリベラルな考え方が正しいものとされていた様な気がする。バブル崩壊、1995年、失われた10年、震災、第二次安倍政権、ネトウヨ、気が付けばやけに右寄りの世の中に。そんな中、今では数少ないリベラルな著作を発表し続けている香山さんは貴重な存在であり、自分を省みる指針にもなる。後半の対談も厳しい現状を知るものだった。 読了日:6月2日 著者:香山リカ ひそひそ-silent voice- (6) (シルフコミックス)の感想 光路は能力が再び無くなって、大地にそれを告げるタイミングに悩み、大地はいきなり知って混乱する。でも、年の離れた二人が同じ能力がある事で親しくなり、能力を失っても交流を持てる様になる意味は大きい。能力が無くても、触れ合った人や生き物や道具達の思いは、察する事が出来る。能力が無いからこそ、心を開いて大切な人達と接する。光路と大地、年の離れた二人の出会いは、それぞれが成長するために必要な事だったのね。 読了日:6月2日 著者:藤谷陽子 読書メーター #
by hitokohon
| 2016-07-01 23:51
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2016年5月の読書メーター
読んだ本の数:10冊/23冊 (後半5/16から) 崩壊する介護現場 (ベスト新書)の感想 取材はしたのだろうが、あくまで著者の見聞範囲内での偏った見方では、という印象を持った。私の母もグループホームで介護職員の方々のお世話になっているのが、皆さん人柄も良く一所懸命に仕事されている。日々それを目にしているので、読んでいて気分が悪くなって来た。確かに本書にある様な事実もあるのだろうが、何か偏見に満ちている気が。 最終章の後半で、介護職員の資格の問題、介護保険の制度的問題点と低賃金の関係などをあらためてまとめているが、この問題をもっと中心に語って欲しかった。
読了日:5月31日 著者:中村淳彦 きょうの日はさようなら (集英社オレンジ文庫)の感想 ポケベルから始まって、誰の回想かなと思ったらSF展開でちょっと驚き。家族会議もスマホでSNSに電子承認、支払もスマホでカードレス。過去と近未来を、通信機器やゲームに漫画で描き分けているのが面白い。それらのモノへの親和性が世代の違いや心情を物語って、家族親族の気持ちをつなぎ直すきっかけにもなって行く。じわっと心に訴える物語。作家買いでしたが、期待以上にいいお話でした。 読了日:5月30日 著者:一穂ミチ 君に届け 26 (マーガレットコミックス)の感想 主人公の親世代として物語を読み始めたが、気が付けば自分の子はピン先生の世代。もはや孫を見ている様なものだが、この子達の人との向き合い方に負けている。今時のリアル高校生はこんなにちゃんと人と向き合っているのだろうか。それが中々難しいから、物語の中の君に届いて欲しい思いに心惹かれるんだろうな、若い人もオバさんも。 読了日:5月29日 著者:椎名軽穂 最後の晩ごはん 旧友と焼きおにぎり (角川文庫)の感想 読んだのは電子版だが、書店で見た紙本の帯に「新章開店」とあったので、どんな展開になるのかちょっとドキドキ。イガ君も夏神さんも、過去の辛い出来事に向き合いながら、前へ進む勇気を持てる様になったみたいで良かった。時に人間の姿に見合った含蓄のある言葉を発するのに、基本子どもぽい感じのロイドが可愛い。 読了日:5月28日 著者:椹野道流 無私の日本人 (文春文庫)の感想 映画の予告編で「実は実話です」と言っていたので、何の記録に残っていた逸話なのかと思っていたら、原作はこの本だった。映画本編のエンドロールで知った。それにしても江戸時代の無名の人々の多彩さに驚き。災害や飢饉を除けば平和だった、戦の無い時代だったからこそ育まれたものだったのか、江戸時代の奥深さに感心。後世のためにこの人々の事績を書き残す思いを語った、著者あとがきも心に響いた。 読了日:5月26日 著者:磯田道史 あめつちだれかれそこかしこ 3 (アヴァルスコミックス)の感想 相変わらず人間くさくマイペースで、少しも神々しいくない年男さんと納戸さん。ほのぼのした話しの中に、家の神様として住人と共に在る情が生まれているんですね。八百万の日本の神様の中には、こんな神様方がいても良いな、と思える物語。 読了日:5月25日 著者:青桐ナツ 本当は怖ろしい日本国憲法の感想 国民主権、基本的人権の尊重、平和主義は現行憲法の三大原則。しかしそれを信じ遵守する事で世の中と個人は上手くやって行けるのか? 西欧から入って来た天賦人権思想は人を殺す事も認める無制限な人権という面があるというが、無闇に殺されない権利もあるはず。民主主義は革命で王族を処刑し、ヒットラーを国家のトップに選んだ。現在アメリカ大統領候補にトランプ氏を選ぼうとしているのも民主主義だ。だからと言って優秀なる指導者頂く国家が自然発生するわけでもない。読んでいてイラっとしてきたが、憲法について改めて考える一助にはなった。 読了日:5月23日 著者:長谷川三千子,倉山満 教団Xの感想 国家と宗教的なテロ組織、敵対している様で利用しあっている様な関係。理想と現実。より良き生き方と、生存と性の欲求との葛藤。自分に絶望しながら承認欲求から逃れられない人のエゴと、達観しながら理想を語る説教臭さ。性と暴力に絡め取られ身動き出来なくなる苦しさと、何か大きな力に縋りたい思い。世の中に真に正しい集団も個人もありはしない。何を選択し何処へ向かうのか、複雑で重い物語だった。楢崎くんの成長と芳子さんの受入れる姿勢に、ちょっと救われる。 読了日:5月23日 著者:中村文則 知らないと恥をかく世界の大問題 (7) Gゼロ時代の新しい帝国主義 (角川新書)の感想 アメリカ大統領選挙、ISのテロと難民問題、東北や九州の復興と心配だらけの東京五輪。これからの世界と日本の関わり、色々と気に掛かれども難しい。と言う事で池上さんの新刊を読んでみた。中東とイスラム教の事、為替など金融経済問題、わかりやすい池上さんの説明でも頭に入らない所はあったが、ISが生まれた元凶がブッシュ(息子)政権の軍事行動だった事や、世界の中のロシア・中国問題などはザックリとわかった。 読了日:5月20日 著者:池上彰 ワンダーリング (ディアプラス文庫)の感想 プロローグを過ぎ本編に入って「公営カジノ」が舞台で既読感、と思ったら「ノーモアベット」のスピンだったんですね。藤堂が懐かない名付け子を気に掛けるのはわかるけど、その雪が反発しながら抱く藤堂への気持ちは、ちょっとわかり難い。嫌よ嫌よも好きのうち、かもしれないが、何かそう簡単には理解し難く感情移入出来なかった。藤堂に対する想いより、後のお話の父子に対する雪の気持ちの方に惹かれるものがあった。 読了日:5月16日 著者:一穂ミチ 読書メーター #
by hitokohon
| 2016-06-01 21:20
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2016年5月の読書メーター
読んだ本の数:13冊/23冊 (前半5/15まで) イシュタルの娘~小野於通伝~(13) (BE LOVE KC)の感想 とうとう大坂の陣へ。皇族と公家にも支配の手を伸ばそうとする徳川と対峙する中で近衛信尹が倒れ、家康に感じる光を知りながらそれに抗する於通。真田弟の己の先を見通した決意、淀殿の女の矜持、利休の死をも振り返り、於通が見据える思いが、表紙の絵に現れている様だ。真田兄弟の再会に涙。そんな中、太郎改め御図ちゃんと真田兄の息子が遂に運命の出会いを果たし、ちょっと明るい希望が! 読了日:5月15日 著者:大和和紀 ナイトガーデン (フルール文庫 ブルーライン)の感想 整が、依存だったかもしれない想いを断ち切って和章のもとを去って一年。和章もそれなりに気持ちの整理が出来たのかも、と思っていたが、まだこんなに傷ついたままだったとは。そんな中で、恩師との縁があって良かった。先生と、同居する孫の柊にとっても。JUNEの時代、他者への依存で破滅する物語も多かったが、痛々しくとも他者との関わりで前進出来る物語で良かった。 読了日:5月15日 著者:一穂ミチ ふったらどしゃぶり When it rains, it pours (フルール文庫 ブルーライン)の感想 同棲していてもセックスレスの一顕とかおり、片思いを知られながら同居を続ける整と和章。いつか何処かで関係を見直さなくてはならない二組だったが、一顕と整の交流から思わぬ幕切れへ。かおりと和章のその後も心配。積読「ナイトガーデン」を読もうと再読。和章にも救いがあって欲しいとあらためて思うので、次作があって良かった。 読了日:5月13日 著者:一穂ミチ アンフォーゲタブル (幻冬舎ルチル文庫)の感想 突然の意外な場所での出会いと、互いに人に言いたくない背景が有りそうな様子。でも次第に分かり合い距離が縮まり、と進むかと思ったら、急転直下の出来事が。何故に十数年前の設定で始まったのか、その訳が分かった17年後、互いの想いに泣けた。未帆ちゃん良い子だ、有村さんの覚悟と優しさの賜物なのだろう。 読了日:5月11日 著者:一穂ミチ トーキョートレイン (あすかコミックスCL-DX)の感想 1組のカップルのお話かと思ったら、別々の路線を舞台にした4組のオムニバスでした。どれも何やら純情で一途な方々のお話で、ほのぼのしました。最後、日本一乗降客が多いというで駅、4カップルがニアミス。お互い知り合いじゃない設定だけれど、素敵な読者サービスでした。 読了日:5月10日 著者:木下けい子 あなたの好きな人について聞かせて (ディアプラス文庫)の感想 私が親でも猛反対するだろう星川さんの大学卒業後の進路選択と、余りな天然純真ボケっぷりに、最初ちょっと付いていけなかった。が、架空の作家名や作品タイトルの典雅さん流の面白さ、更に星川さんに書かせたSSの可笑しさ、主人公達の恋のゆくえとは別のところで楽しませてもらった。今作にも格好いい男性の代名詞として「福山」登場(笑)電子版書き下ろしの様々なあだ名候補もアホで微笑ましかった。 読了日:5月8日 著者:小林典雅 ヲタクに恋は難しい (2)の感想 ヲタクに非ヲタとの恋は難しいかもしれないけど、ヲタ同志は楽しそう。別に一般デートコースじゃなくても、二人で楽しめる場所ならどこでもいいよね。だから花ちゃんもそんな怒らないで(笑) まあ喧嘩する程仲が良いのね。互いを思いやる気持ちは、ヲタク関係なく微笑ましいです。チビッ子だった宏高・成海も可愛いかった。 読了日:5月7日 著者:ふじた あなたの物語―人生でするべきたった一つのことの感想 3億の仲間と走り抜き勝ち残ったレース。他の3億の仲間が見る事がなかった、行きたかった、生きたかった、この世界にある「あなた」への優しいエール。こういう命のメッセージもあるんですね。子ども達に読んでほしいです。 読了日:5月6日 著者:水野敬也 老子―自由訳の感想 道(Dao)から大自然が生まれ、そこからまた万物が生じる。目の前の小さな事をこつこつと積みかさね、無欲に謙虚に、不争と貢献の徳をもって、道にまかせて生きる。簡単そうで難解な老子の教えを、著者流の現代語訳でわかりやすく伝えてくれる。最高の政治家は国民からその存在を意識されない、というのは凄い。人望の薄さを法律や罰則の量産で補う政治家は情けない。うう、某党の憲法改正案が思い浮かぶ。とにかく、やわらかくしなやかに、あるがまま自然にゆったりと、老子の説く生き方に励まされる。 読了日:5月6日 著者:新井満 『歎異抄』 2016年4月 (100分 de 名著)の感想 実家が浄土真宗で祖父が朝晩念仏を唱えていたので、わりと馴染みがあった親鸞さん。歎異抄を初めて読んだのは二十歳くらいの頃だったと思うが、先月番組を見て自身の「歎異」を再確認。「他力本願」を人事を尽くして天命を待つ、「悪人正機」を無知の知、みたいな事なのかと勝手に解釈していたけど、そんな簡単な事ではなかった。三国連太郎さんの本のタイトルでもある「白い道」の意味も初めて知った。すぐに欲望に左右され、下心ありの己の計らいを善行と勘違いし、時折悟った気になる我々に、親鸞の説く他力は易行といいながら中々に厳しい。 読了日:5月5日 著者:釈徹宗 プラチナエンド 2 (ジャンプコミックス)の感想 前巻の冒頭で天使たちは、一度は絶望の淵にあった人を自分の神候補として救った様に思わせたが、その人を幸せにすると言いながらとんでもない試練を強いている。物事の善悪や人の幸不幸を、この物語はどう決着するのか、それが気になって続きも読むだろう 読了日:5月5日 著者:小畑健 坊主かわいや袈裟までいとし 3 (花丸コミックス・プレミアム)の感想 大円くん、相変わらず外見も中身も可愛いらし過ぎ。とても弥六くんと同世代とは思えません(笑) このふたりもさることながら、パパの方のあれこれが気になります。 読了日:5月4日 著者:本間アキラ 死者の書の感想 近藤ようこさんのコミック版下巻を読んで再読。したした、こうこう、物語の要所要所に現される擬音が印象的。原作を読んで、あらためて近藤さんの作品の素晴らしさを再確認した。 読了日:5月3日 著者:折口信夫 読書メーター #
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