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スラムダンクな友情論

斎藤孝著 2002/10/10発行 文春文庫(文藝春秋)
2000年刊行「スラムダンクを読み返せ!!」(パラダイム)に加筆・再構成

著者の斎藤孝さんは、今年の新語・流行語にも選ばれたベストセラー「声に出して読みたい日本語」を書いた方だ。その斎藤さんが、主に十代の人に向けて書いたのがこの本だ。私が読んだ文庫版の「スラムダンクな友情論」は、全編ルビ付きで小学生にも読めるようになっていた。スラムダンクだけでなく、色々な漫画や小説、あるいは実在の人物の逸話などから、自分を高めて行くクリエイティブな友情としてのライバル関係を語り、その先にある「自分って何だ」という問題に踏み込んで行く。スラムダンクを読んだ事がない人にでも十分楽しめる。まずは目次を眺めて、自分の知っている作品を取上げている項目から読んでみるのも、いいかもしれない。
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by hitokohon | 2002-12-01 00:00 | 漫画・アニメ関連

読書力

斎藤孝著 2002/9/20発行 岩波新書

若者が本離れしている、という現状を憂いつつ、彼らの「読書力」を是非盛り上げていきたい、という思いからこの本を書いたという。読書は、してもしなくてもよいものではなく、ぜひとも習慣化するべき「技」であるり、それを身につけることが「読書力」だ。 自己形成としての読書、スポーツのように自分を鍛えるための読書(読書の技)、対話力を高めるコミュニケーション力の基礎となる読書、と本書を読み進むに従って「読書力」もスキルアップしていく。若者にはもちろん、昔の若者にも、ちょっと緊張感のある読書を思い起こさせてくれる。
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by hitokohon | 2002-12-01 00:00 | 子育て・教育

夫と妻のための 新・専業主婦論争

中公新書ラクレ編集部編 2002/3/25発行 中公新書ラクレ(中央公論新社)

ここ何年かの間に発表された、専業主婦をめぐる論評の抜粋を中心にまとめられた本。これ一冊で、現在の専業主婦論争を知ることをが出来る。

一昨年だったか、この本でも紹介されており、現代専業主婦論争の火付け役ともなった、石原理沙さんの「ふざけるな専業主婦」(現在、新潮OH!文庫からも刊行)シリーズと、その対極にあると思われる、林道義さんの「主婦の復権」(講談社)を読んだ。特に、パート収入しかなく、税金を払わないで夫の収入に頼って暮らしている、いわゆる専業主婦に属する私には、前者のタイトルはたいへん不愉快なモノだった。しかし、じっくりと読んでみると、内容は後者の方がずっと不愉快だった(笑)

「ふざけるな専業主婦」の方は、題名こそ「喧嘩売ってるのか?」と思うようなモノだが、その批判の矛先は、そう理不尽なモノではない。それは、働く主婦に批判的な態度をとることでしか、自らの正当性を主張出来ない専業主婦や、税金も払えない程度の仕事で、完全専業主婦に優越感を感じているようなパート専業主婦に向けられたもの。自分が選んでいる専業主婦という生き方には、自分自身で責任を持て、という主張であり、自戒とともに共感を得られるものだった。

そんな話も含め、もろ渦中の人間である私にとっては、とても考えさせられる一冊だった。表題にもあるように、夫にも妻にも、そしてこれから結婚を考える独身の男性と女性にも、ちょっとお勧めのテーマでもある。
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by hitokohon | 2002-12-01 00:00 | 時事・流行・社会問題

2ちゃんねる宣言 挑発するメディア

井上トシユキ + 神宮前.org 共著 2001/12/10発行 文藝春秋

別冊宝島REAL、特集アスペクトなどに共著もあるフリーライターの井上さんと、社会人ボランティアグループ神宮前.org(どっとおぐる)の共著。神宮前.orgは、地域の情報化を支えるNPO活動を軸に、神宮前・原宿へ向けて集まる"価値ある情報"を発信することを目的にしているグループで、2ちゃんねる管理人ひろゆき(西村博之)さんも参加している。

某ニュースキャスターに「便所の落書き」と称され、ネット慣れしていない人々にはインターネットの裏街道のような印象をも与える、巨大掲示板サイト「2ちゃんねる」。そこには300余りの専門板が存在し、推計300万人ともいわれる利用者が訪れて、玉石混交ではあるが活発な発言が繰り返されている。その発言や存在は、はたして、単なる「便所の落書き」なのか、クリエイティブなものなのか。「2ちゃんねる」って本当はどうなのよ? という疑問に、何とか答える糸口を引っ張り出そう、というのが本書の目的である。

「2ちゃんねる」前史から始まり、管理人ひろゆきさんへのインタビューによる、その成り立ちや運営の現状、維持の苦労などに至る話は、ビジネスでは成し得ない「ギブ&テイク」によるネット社会の広がりを実感させられる。しかし、サーバ維持管理費の膨大さなど、管理人の負担が大き過ぎるような気がするが、それでも出来る限りは続けていこうとする、ある意味非常に物好きな行動が「2ちゃんねる」を支えて来たのだ。

私自身は、ちらっと覗いた事くらいしかない「2ちゃんねる」だが、全く良い印象は持っていなかった。ここで自分のサイトについて書かれた為に、サイト閉鎖を余儀なくされた方の話を聞いたことがあるし、好きなライターさんの名前で検索し辿り付いた板での、その方や作品の酷い叩かれ様を読んだり、2ちゃんねらー風の荒らし書き込みに迷惑したことなどがあるからだ。しかし、それはあくまでも「2ちゃんねる」に集まる一部の人の問題であった。この本をよんで、「場」としての「2ちゃんねる」の存在や、匿名性の中から生まれる自己顕示欲のストレートな発露と自浄作用など、ネット社会の縮図として興味深い所があるのも知った。最終章、田原総一郎・糸井重里・山形浩生・宮台真司各氏とひろゆきさんの対談も面白い。

ついでに、インタネ関連で最近入手した本を紹介してみる。

「万有縁力 ネットの向こうに人が見える」
(EC研究会とってもe本プロジェクト 編著 2001/10/19 プレジデント社)
ネットを活用した縁結びの力を「縁力」と呼び、様々な切り口で個人レベルの情報発信をしている人々や、ネット配信ビジネスをする人々を紹介しながら、それが実現されていく可能性を探る。

「個人ホームページのカリスマ」
(金田善裕 著 2002/5/23発行 講談社)
個人で、一日に万単位の訪問者数のホームページを運営する14人の方々を紹介し、既存のメディアとは全く違った形で、個人が巨大メディアを持ちうる可能性について触れ、メディア新時代を語る。

「コンピュータユーザのための著作権&法律ガイド」
(プロジェクトタイムマシン 著 2002/9/30 発行 毎日コミュニケーションズ)
可愛いイラストキャラのQ&A形式による解説で、とてもわかりやすい
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by hitokohon | 2002-12-01 00:00 | 時事・流行・社会問題

世界がもし100人の村だったら

池田香代子 再話 C.ダグラス・ラミス 対訳  2001/12/11発行 マガジンハウス

インターネットのEメールによって世界に広まった、都市伝説ならぬネット民話(ネットロア)を、池田香代子さんが再話というかたちでまとめたのがこの本。昨年(2001年)の暮れに新聞記事で紹介されているのを読んでとても興味を持ち、今年最初に読んだ本でもある。

63億の人口であるこの世界を100人の村に縮めたら・・・・
「52人が女性です 48人が男性です 30人が子どもで 70人が大人です」

と始まるこの文は、色々な立場の人の人数を延々と書き連ねることによって、この世界の今の状況を伝えようとしてる。数字が、無機的なだけでなく、その表現方法によっては心に訴える説得力をも持つ事もあるのだと、あらためて感じさせてくれる作品だった。絵本のようになっており、お子さんにも読めるので、親子で読み、世界の中の「自分」について考えてみるのもいいかもしれないなぁ、と思った。中学生以上の方は、併記されている英文と読み比べて見るのも参考になると思う。またこの本は、今年前半のベストセラーのひとつでもあり、下記の続編も刊行された。

「世界がもし100人の村だったら2」 池田香代子&マガジンハスス 編
2002/6/13発行 マガジンハウス

こちらは、100人の村の原点だという「1000の村」に例え直すことで、より正確な人口分布を表現すると共に、様々な資料や解説によって、我々の住む地球村の現状をより詳しく伝えようとしている。「100人の村」の資料集として、中学生以上方に読んでもらえたらいいかなぁ、と思う一冊だ。
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by hitokohon | 2002-12-01 00:00 | 時事・流行・社会問題