カテゴリ:漫画・アニメ関連( 24 )

僕から君へ

羅川真里茂 傑作集 2005/5/18 発行 白泉社文庫(コミック)

「僕から君へ」・・・・・・・・平成10年 メロディ1月号掲載
「東京少年物語1」・・・・平成 3年 花とゆめ9号掲載
「東京少年物語2」・・・・平成 6年 花とゆめ18号掲載
 エッセイ「裏」・・・・・・・・平成14年 別冊花とゆめ5月号掲載
「がんばってや」・・・・・・平成13年 別冊花とゆめ7月号掲載

羅川真里茂さんは、アニメ化もされた「赤ちゃんと僕」や「ニューヨーク・ニューヨーク」などの長編作品で有名ですが、この文庫は上記の「田舎3部作」といわれる短編や中篇を収めた作品集です。

少女漫画ですが、どの作品も主人公は少年や青年。彼らの恋人である女の子も登場しますが、その恋愛模様はあくまで脇の話題で、中心になるのは、男の子同士の友情とライバル意識などを根底とする微妙な絆の様なものです。故郷を離れ東京に出た青年たちが、故郷で少年時代を共にした友人や、同じように故郷を後にして来た青年との関係を通して、故郷と今自分が暮らす都会との距離感に折り合いをつけて行く物語です。

「ニューヨーク・ニューヨーク」がゲイのカップルを主人公にした物語なので、ボーイズラブ(BL)系の作家として認識されることもある羅川さん。たしかにBLテイストな作品は多いと思います。しかし「ニューヨーク・ニューヨーク」という作品は、ただのBLには収まらない普遍的な人間物語です。

私が最初に読んだ羅川さんの作品が「ニューヨーク・ニューヨーク」だったのですが、読んでみようと思ったのは、あるゲイの方がサイトに載せていた感想を読んだからなんです。そして白泉社文庫版で2巻のあとがきを書いている伊藤悟さんは、同性愛者として講演などの活動もされている方です。BL読みの女性読者だけでなく、ゲイの男性読者の共感も得られるというのは、それだけ作品にリアリティがある証拠だと思います。「赤ちゃんと僕」に子育て中のお母さんたちが共感したのもそうでしょう。作品集「僕から君へ」も、そうした何かが伝わる作品です。
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by hitokohon | 2005-06-12 20:08 | 漫画・アニメ関連

「光とともに…」8巻

サブタイトル:自閉症児を抱えて
戸部けいこ 著  2005/6/30 発行(奥付はそうなってますが、5/28 発売) 秋田書店

昨年11月の7巻発売時に自blogでも紹介した「光とともに…」ですが、この度8巻が刊行されました。秋田書店のコミック雑誌月刊「for Mrs.」連載中。連載開始は2000年11月号からで、1巻発行は2001年7月だったようです。(1~7巻は貸出中なので今確認できないんですが)

自閉症という障碍を持って生まれてきた光くん。母の幸子さんは、夫や義母、周囲の無理解で、孤独な育児を強いられていましたが、専門の施設の職員に出会って励まされ、夫の理解も得られる様になり、次第に周囲との関わりの中で、光くんのための子育てが出来るようになって行きます。小さかった光くんも小学校の特殊学級に通うようになり、8巻では小学6年生に。地元の中学へ上がれるのか、養護学校へ行った方が良いのか、両親にとってはまた悩み多き時期にさしかかっています。

自閉症というと、私自身その名前のせいで、子どもを持つまでは心身症的な病気だと勘違いしてました。体の障碍と違い一見して判り難いので、我儘な子だとか親の躾が悪いだとか誤解もされやすいです。全ての自閉症の人が光くんの様だとも限らず、対応の仕方も含めて、個々にそれぞれ様子が違うのでしょうが、この障碍に対する一般の理解を広める作品だと思います。そして子育てに関して言えば、障碍の有無に限らず参考になる所、共感する所が沢山ある作品でもあります。

小さいお子さんをお持ちの方は勿論、これから親になる予定がある若い方も、きっと何かが得られると思います。
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by hitokohon | 2005-06-03 21:31 | 漫画・アニメ関連

「のだめカンタービレ」12巻

二ノ宮和子 著  2005/5/13 発行 講談社コミックスKiss

2001年から講談社のコミック雑誌「Kiss」に連載されている、クラッシク音楽ラブコメディ?

主人公の野田恵(通称のだめ)はピアノ科の音大生。本能の赴くままに人を惹きつける演奏をするかと思えば、楽譜通りに演奏できないという、天才なんだか落ちこぼれなんだか判らないピアニスト。物怖じしない性格で前向き、かと思うと前後不覚に地の果てまで落ち込む極端な性格。その上超片付けらない女で、奇行に走ることもある変人と思われる節も・・・。

そんな「のだめ」に一目惚れされたのが、上級生の千秋真一。著名ピアニストを父親に持ち、本人も指揮者を目指す優秀な音大生である彼は、ルックスの良さとオレ様な性格で学内でも有名人。皆に近寄り難いと思われているその千秋先輩に、何の躊躇もなく接近して行くのだめ。次第にのだめペースに嵌って行く千秋と、彼の影響で演奏家としての自分に目覚めていくのだめ。やがて二人はパリに留学する事に。

12巻では、指揮者コンクールに優勝した千秋が、パリでのデビュー公演に臨むことに。一方のだめは、学校でのレッスンに自信を無くしドツボな日々。そんなのだめを正攻法で叱咤激励する千秋に対し、「彼女に、余計な事を教えるな!」と怒鳴りつける、屋根裏部屋の謎の画家。そして、日本にいた頃のだめに片思いしていたこともあるオーボエ奏者の黒木くんが現われたり、ユニークな登場人物たちに囲まれて、二人の留学生活は前途多難? 今後の物語とふたりの関係の進展が楽しみです。
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by hitokohon | 2005-05-22 22:21 | 漫画・アニメ関連

ANIMAL X

杉本亜未 著 徳間書店キャラコミックス(2004年8月最終巻発売)
 『ANIMAL X 荒神の一族』 全4巻、『ANIMAL X 大地の掟』 全2巻、『ANIMAL X 原始再来』全10巻

角川書店『ASUKAミステリーDX』で1991年に連載が始まり、その後、2004年6月号まで徳間書店『Chara』にて連載。

近未来、人間と恐竜の特性を持った少数民族「血族」と、彼らを研究することで人間に益をもたらそうする組織との対立を、渦中に生きる二人の青年を通して描くSF仕立ての物語。

主人公鮎川祐司は、医大を卒業した後、製薬会社の研究員として働いていた。気が弱くて、同じ研究員で婚約者でもある杏子からも、「しっかりしてよ!」と言われ続け、男らしく無い自分に悩みながらも、平凡な生活を送っていた。そんなある日、寮の自室に押し入って来た少年に拉致され、彼の故郷に連れて行かれてしまう。彼、浅羽湊は「血族」であった。女の生まれ難い種族である彼らは、一夫一婦の結婚形態を持たず、生殖可能な男たちは自分たちの子を産んでくれる「雌」を複数で共有して子孫を残して来たのだ。そして、祐司はその「雌」だというのだ。

祐司は研究員として働く中で、新薬服用という臨床実験のバイトをしていた。危険のない薬だと思っていたそれは、彼の体に人間と血族両方の子を受胎可能な女性の機能を作り出していたのだ・・・・。27年間男として生きてきた祐司は、女として強姦され人間の子を、そして自ら望んで湊の子を生むことになる。

男である自分と、女であり母である自分の狭間で生きざるを得なくなった祐司。「血族」としての誇りを誰より強く持ちながら、敵である人間の祐司を愛し、一族の伝統には無い一夫一婦の暮らしを望む湊。そして、人間と血族の対立の中で、愛児を拉致されるという事件に遭遇したふたりは、娘を探すために組織に近づく・・・・。漫画というかたちで、ジェンダー(社会・文化的性別)と個の尊厳の問題をも取り上げた興味深い作品です。
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by hitokohon | 2004-08-01 22:11 | 漫画・アニメ関連

ヒカルの碁 (全23巻)

ほったゆみ 原作 / 小畑健 絵 1999/4/30 第1巻発行 集英社ジャンプコミックス
週刊少年ジャンプに1999年2・3合併号から2003年4月まで連載され、 2001年10月~2003年3月までTVアニメも放映された(首都圏はTV東京にて)囲碁漫画。

主人公進藤ヒカルは、小6のある日、祖父が所有している古い碁盤を見つけ、そこに宿っていた霊の声を聞く。声の主は平安時代の碁打ち藤原佐為。志を半ばにして無念の死を遂げた、虎次郎こと本因坊秀策にも取り憑いていた事もある彼の魂は、千年の時を経てヒカルの内に蘇り、再び碁を打ちたいと強く願った。不本意ながら佐為に協力し碁の対戦相手を探すヒカルだったが、碁盤を挟んで対峙した同い年の塔矢アキラが見せる鬼気迫る眼差しと出会い、自らも碁を打ちたい、アキラと自分の実力で向き合いたいと願うようになる。そしてヒカルは、プロ棋士を目指すことに・・・。

とにかく、ヒカルとアキラのライバル関係に佐為を交えた三角関係(?)が見所です。同世代に敵無しと思っていた囲碁の天才少年アキラは、ヒカル(実は佐為)に一刀両断の敗北を喫する事で、自らの内に秘めていた激しい闘争心に目覚めます。ヒカルもまたそんなアキラに触発され、佐為の身代わりではなく、自分自身として真剣に碁を打ち、自分の実力でアキラに勝ちたいという強烈な願望を持つようになります。そして、ヒカルは自身として幾多の対局を経験し、プロ試験に合格する程の実力をつけて行きます。一方佐為は、生身の肉体を持てないが故に、ヒカルの成長に反比例するように自身としての対局の場が得られなくなって行き、未来あるヒカルに嫉妬し、自身の存在意義に不安を覚えます。

ヒカルに呼び寄せられるように現世に復活した佐為。佐為でもあるヒカルの存在によって本性を剥き出しにするアキラ。アキラに出合い佐為に導かれて魂の希求するものを見つけたヒカル。それに加えて、佐為に対局させるためにヒカルが考えたネット碁の「sai」の謎めいた存在。三者が互いに影響し合って高められ、同時に互いを意識する事で他者に譲れない自分を見出し、全力で進んで行く姿に、少年漫画の醍醐味を感じます。
また、下はプロ棋士を目指す小学生のフクこと福井君から、上は老人の域に達している桑原本因坊やヒカルの祖父まで、多彩な登場人物が物語に深みを与えています。

その成長過程の面白さと、個性あふれる登場人物の魅力で、囲碁に興味が無い読者でもどんどん作品世界に引張り込まれて行きます。囲碁を全く知らなくても、ヒカルとともに囲碁とは何かを知り、ヒカルの様には囲碁が上達しなくても、囲碁に興味を抱いてしまう作品です。この作品を読んで囲碁を打つようになった読者も多くいると思います。囲碁なんて全く知らなかった小さな子ども達もまた、TVアニメの最後に毎回放送されていた梅沢由香里先生の「GOGO囲碁」を見て、囲碁を打つようになりました。
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by hitokohon | 2004-07-01 16:01 | 漫画・アニメ関連

マンガの居場所

夏目房之介 編著 2003年4月発行 NTT出版

毎日新聞夕刊に、1998年4月から「マンガの居場所」と題して連載されたマンガ時評を単行本化したもの。

漫画家、評論家として活躍している編者の他、日本漫画史を専門とする大学の非常勤講師である宮本大人(ひろひと)、日本学術振興会特別研究員の瓜生吉則(よしみつ)、少女漫画家や香港漫画出版社勤務も経験している鈴賀れい、フリーのマンガ研究者であるヤマダトモコが、著者として名を連ねている。

2001年掲載分に「『ドラゴン・ボール』ドイツで大ヒット 」と題して書かれている文章があり、1999年頃からドイツでドラゴン・ボールがヒットしているという事に触れながら、日本マンガの国際化についても語られている。下で紹介している「マンガ 世界 戦略」と同テーマであり、内容からも夏目さんが書かれたのだと思われる。

新聞連載のコラムなので、ひとつの話題が見開きの2頁分と読みやすい長さだし、興味ある所だけ拾い読みしてもいいので、読みやすい。
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by hitokohon | 2004-02-07 19:27 | 漫画・アニメ関連

マンガ 世界 戦略

サブタイトル:カモネギ化するかマンガ産業
夏目房之介 著 2001年6月発行 小学館

漫画家であり、その技術的視点から独自の漫画評論を展開してきた著者が、その国際化と産業としての在り方という社会的な観点からマンガを語った一冊。

サブカルチャー本のコーナーに置かれているかもしれないが、「マンガ」と「世界」について書くうちに「戦略」についても展望せざるをえなくなったということで、日本マンガをめぐる国際版権やマーケティングさらに構造改革などに言及していて、ビジネス書と言ってもいいかもしれない。

そんな訳で、日本マンガを代表する作品のひとつである「ドラゴンボール」についても随所で触れられている。全編を読むのが大変な場合は、巻末の索引から作品名や著者名で引きながら読んでも参考にはなるかもしれない。
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by hitokohon | 2004-02-07 19:22 | 漫画・アニメ関連

鉄腕アトムは電気羊の夢を見るか

布施英利(ひでと) 著 2003/3/15 発行 晶文社

今年夏、講演会でお話を聞く機会があって、布施英利さんという方を初めて知った。美術評論家として多数の著作があり、現在は母校の東京芸術大学で助教授もされている。専門は美術解剖学というあまり聞きなれない学問で、芸大を卒業した後に、「バカの壁」で今年注目の養老孟司さんに師事して解剖学も学んだという。

芸術家であり科学者でもあり、また人体を知る為に解剖も手掛けたというレオナルド・ダ・ビンチに興味を持っているというお話で、美術解剖学というものが少し解ったような気がした。そして、鉄腕アトムを見て育った世代でもある布施さんは、マンガ家であり医学者であり、未来を想い描いた科学者の目をも持った手塚治虫にも興味を惹かれたようだ。

この本は、映画「ブレードランナー」の原作でもある「アンドロイドは電気羊の夢をみるか?」( フィリップ・K・ディック著 浅倉久志訳 ハヤカワ文庫 )から、題名をつけている。私は映画も小説も見てないのだが、汚染され生物の少なくなった地球で、人工の電気羊しか持たない主人公が、本物の動物を手に入れるお金欲しさに、賞金の懸った逃亡アンドロイドを追いかけるお話しらしい。 アンドロイドでもある鉄腕アトムを通して、現代のロボット技術やクローン技術について語りながら、マンガというメディアを人間がどう認識しているかという事にも触れている、ちょっと面白いマンガ論でもある。

書店で見つけられた布施さんの著書はこれ一冊だったので、他は図書館で借りて読んだ。「絵筆のいらない絵画教室」(紀伊国屋書店、2000年)、「美術館には脳がある」(岩波書店、1996年)や、ちょと出版が古いが、コンピュータ・アートを評論した「電脳美学」(筑摩書房、1991年)なども面白かった。
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by hitokohon | 2003-12-01 00:00 | 漫画・アニメ関連

スラムダンクな友情論

斎藤孝著 2002/10/10発行 文春文庫(文藝春秋)
2000年刊行「スラムダンクを読み返せ!!」(パラダイム)に加筆・再構成

著者の斎藤孝さんは、今年の新語・流行語にも選ばれたベストセラー「声に出して読みたい日本語」を書いた方だ。その斎藤さんが、主に十代の人に向けて書いたのがこの本だ。私が読んだ文庫版の「スラムダンクな友情論」は、全編ルビ付きで小学生にも読めるようになっていた。スラムダンクだけでなく、色々な漫画や小説、あるいは実在の人物の逸話などから、自分を高めて行くクリエイティブな友情としてのライバル関係を語り、その先にある「自分って何だ」という問題に踏み込んで行く。スラムダンクを読んだ事がない人にでも十分楽しめる。まずは目次を眺めて、自分の知っている作品を取上げている項目から読んでみるのも、いいかもしれない。
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by hitokohon | 2002-12-01 00:00 | 漫画・アニメ関連

櫻の園

吉田秋生 著 1994年12月発行 白泉社コミック文庫 全1巻
文庫版で読みましたので、初出年はわかりません。

実写ドラマとして映画化もされているので、ご存じの方も多いと思います。
毎年桜の咲く季節にチェーホフの『櫻の園』を上演することが伝統となっている、桜に囲まれた女子高校が舞台です。物語は、『櫻の園』を上演する演劇部の女生徒たちの稽古から本番当日までの心の変化を、その中の4人を主人公にしたオムニバス形式で描いています。それぞれの少女が、異性との関わりを通して、「女」であることを受容して行く心の痛みと抵抗を語りかけます。
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by hitokohon | 2002-08-01 22:09 | 漫画・アニメ関連