カテゴリ:囲碁関連( 22 )

野垂れ死に

藤沢秀行 著 2005/4/20 発行 新潮新書

藤沢秀行さんは、1925(大正14)年横浜市生まれで、日本棋院の元棋士。昭和52年から棋聖戦を6連覇して名誉棋聖となり、他にも王座、名人、天元などのタイトルを次々と獲得。平成3年にはタイトル獲得最高齢(六十六歳)で王座に返り咲いた。平成10年に現役を引退した後も、日々碁の勉強は欠かさず、後進の指導などにもあたっている。

自らを札付きの無頼漢だというその人生は半端ではない。常に碁の事が頭から離れず、誰よりも勉強熱心な棋士として実績を上げて行く一方で、私生活では、酒浸りでアル中になり、競輪にのめり込み事業に手を出しては億単位の借金を作り、妻以外にも二人の女性に子どもを産ませたりと、絵に描いた様な道楽ぶりであった。その上3度もガンに侵されながらその度に克服している。どう考えても凄まじ過ぎる人生だが、藤沢さんの語り口は何とも軽やかで潔く、いっそ痛快と思えるくらいだ。

「野垂れ死に」の前に、妻の藤沢モトさんの著書「勝負師の妻―囲碁棋士・藤沢秀行との五十年」( 角川書店2003年2月発行 角川oneテーマ21 )も図書館で借りて読んでいた。普通の女性なら当の昔に逃げ出してるか、精神的に追い込まれているだろう生活を、負けん気と努力と行動力で乗り切って、決して泣き言をいわず達観している姿勢には感服するしかなかった。

モトさんというバックボーンがなかったら、秀行先生がこんなに痛快に人生を語る事は出来なかっただろうなぁ、と思いながら読み進めていたのだが、最終章でちゃんとモトさんへの感謝の気持ちも語られていた。これからの日本ではもう、秀行さんの様な男性も、モトさんの様な女性も出てこないだろうと思いながら、読後感は悪くない。人間って愛しい生き物だと思えた
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by hitokohon | 2005-06-08 22:48 | 囲碁関連

命を救う「ふれあい囲碁」

安田泰敏 著 日本放送出版協会 2004/11/10 発行 生活人新書124

以前紹介した「子どもと始める囲碁」(岩波アクティブ新書)の著者、プロ棋士安田泰敏九段の著書です。「子どもと始める囲碁」の中でも紹介されていた、保育園や幼稚園、福祉施設などで安田さんが行っている、囲碁を通してコミュニケーションの楽しさを伝える活動について書かれています。

安田さんはプロの棋士ですが、この「ふれあい囲碁」の活動では、囲碁の技術的向上についての指導はしていません。全くの囲碁初心者の幼児や小中学生、障碍をもった方々などに、対戦相手が居なければ出来ない囲碁というゲームの基本ルールを教えます。石を置くことによって自分の意思を表現し、石を置くことによって人とふれあう喜びを感じてもらおうと云う試みなのです。

いじめを苦に自殺した中学生のにニュースを見て、孤立して苦しんでいる人を救いたい、という一心で安田さんはこの「ふれあい囲碁」の活動を始められたそうです。
国は、「命の大切さ」や「心の教育」に力を注いでいますが、理想や理屈だけでは一人の命も救えません。
子どもたちが望んでいるのは、「自分の傍にいてほしい」「自分の話を聞いてほしい」「自分のことを見守ってほしい」ということなのです。
と、この本の「まえがき」に書いておられましたが、安田さんが「ふれあい囲碁」で行っている指導の姿勢は、まさにその子どもたちの望みを叶えるように、相手に寄り添い見守る事でした。決して囲碁を教え込む事ではないのです。読み進めながら、そんなに上手く行くものだろうか、という疑問も感じましたが、現実に奇跡はいくつも起きたようです。

そんな中で出会ったある保育園児の少女は、囲碁の先生になって「世界の人に囲碁を教えて、みんなで仲良く幸せになりたい!」と将来の希望を話したそうです。それがキッカケとなって、安田さんの「ふれあい囲碁」の活動は海外にも広がる事になりました。これは、小林光一九段が著書「棋士ふたり」に書かれていた、女流棋士であった亡き妻禮子さんの、囲碁普及への思いにつながるものだと感じました。

囲碁についてより、子どもと向き合う姿勢、人と関わる思いを教えられる内容でした。
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by hitokohon | 2005-05-14 15:00 | 囲碁関連

超カンタン囲碁入門

武宮正樹 著 2002年11月 発行 金の星社

プロ棋士武宮正樹九段による囲碁入門書。子どもにも読めるように全頁ルビ付きで、解りやすい文章で書かれています。1200円(+税)と入門書としては少々高いかなとも思いましたが、A5板ハードカバーで図も見やすく、欄外の「囲碁おもしろ用語」「囲碁ことわざ」解説も面白いです。
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by hitokohon | 2004-07-01 15:59 | 囲碁関連

子どもと始める囲碁

安田泰敏 著 2002年8/6 発行 岩波アクティブ新書

幼児に指導している経験を生かして、プロ棋士安田泰敏九段が書いた親子で始める囲碁入門書。碁盤を持っていなくても、自分で入門者用の九路盤を作ってみよう、という導入が他の入門書と少し趣を異にしています。私もこれを読んで30cm四方の安い板を買って九路盤を作ってみました。大人には囲碁にまつわるコラムも面白いです。
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by hitokohon | 2004-07-01 15:57 | 囲碁関連

完本 本因坊秀策全集 全5巻

福井正明 著 1996/11/12 発行 誠文堂新光社

古典研究にも熱心なプロ棋士福井正明九段がまとめた本因坊秀策の棋譜集。まだ安田栄斎と名乗っていた天保10年11歳の時の棋譜から紹介されています。

本因坊秀策は『ヒカルの碁』のアニメ化によって、小さな子どもにもその名を知られるようになった江戸時代の棋士で、「碁聖」と呼ばれた人です。1829年広島県因島の生まれで幼名を桑原虎次郎といい、母から囲碁の手ほどきを受けました。三原城主浅野忠敬に碁の才を認められ、父の実家の安田姓を名乗り仕えるようになります。その後囲碁修行のため江戸に出て、本因坊丈和に弟子入りしました。20歳で十四世本因坊秀和の跡目となりますが、十五世を継ぐ事なく、34歳の若さで亡くなっています。

第一巻の「序」によると、日本史上「碁聖」と呼ばれた4棋士は、延喜の寛連、元禄の本因坊道策、文政の本因坊丈和、嘉永の本因坊秀策であり、その中でも秀策の碁は「美」の一言に尽きるということです。棋譜を見ても私にはそこまで感じる事はできませんが、碁の解る方には一見の価値があると思います。ただ、この本は全5巻で38000円と大変高価なので、図書館で探してみて下さい。私も地元図書館で偶然見つけてこの本の存在を知りました。

日本棋院から出版されている「古典名局選集」に福井九段著の『秀麗秀策』がありますが、こちらは1200円と購入可能なお値段でした。このシリーズには『玄妙道策』酒井猛著、『剛腕丈和』高木祥一著などもあります。
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by hitokohon | 2004-07-01 15:54 | 囲碁関連

囲碁の初歩の初歩

菊池康郎 著 金園社発行 2003年5/20 46版(1980年10月初版?)

囲碁研究団体である緑星会や緑星学園を主宰し、囲碁界の発展と後進の育成に尽力している菊池康郎アマ名人による入門書。とにかく一局打てるまでを解説してくれています。

他の入門書2冊を先に読んで、全くの入門者から次のステップに行きたいなぁ、とこの本を購入したのですが、私はまだまだマスターしておりません。
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by hitokohon | 2004-07-01 15:53 | 囲碁関連

囲碁界の真相

石田章 著 2003/07/23 発行 河出書房新社

日本囲碁界はなぜ韓国、中国に遅れをとったのか、日本の若手たちは世界を舞台に戦えるのか、などの囲碁界の様々な問題や、若手からベテランまでの棋士たちの人物評など、プロ棋士石田章九段が少々辛口の批評を交えながら語っています。

囲碁の認知度の低さやタイトル戦の賞金について、経済的にも豊かになった成熟社会で子どもたちが1つの目標に向かって邁進して行く事の難しさなど、日本社会の持つ問題点を指摘しています。そこに生じる「ハングリー精神の低下」は、囲碁に限らずあらゆる部門で問題になっている様に思います。

それから、羽根直樹、山下敬吾、張栩という若手トップ棋士や、小林光一、趙治勲をはじめとするベテラン棋士たちの人物評も興味深いです。例えば、NHK囲碁講座の講師をされるなど囲碁普及に尽力する白江治彦七段の自他に厳しかった若き日の精進ぶりなど、テレビ画面で見る印象からは想像し難いものです。
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by hitokohon | 2004-07-01 15:52 | 囲碁関連

昭和囲碁風雲録 上下2巻

中山典之 著 2003/6/19 発行 岩波書店

日本棋院の誕生から、木谷実・呉清源の新布石による革新、数々の棋戦を舞台にした名勝負など、波瀾万丈の昭和囲碁史をプロ棋士中山典之六段が描いています。

なんというのか、中山さんの語り口は、血湧き肉躍るような、囲碁はこんなに面白い、人間はこんなに愛おしい、と伝えたい思いがみなぎっているような気がします。囲碁はあまり打てないけれど、囲碁界の歴史に興味がある方にはお薦めです。

昭和20年8月6日、爆心地広島市街より10キロほどの所で打たれた、第三期本因坊戦、橋本昭宇本因坊と挑戦者岩本薫七段の対局についても触れられています。囲碁を通じて昭和史の一端を知る事にことも出来ます。
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by hitokohon | 2004-07-01 15:51 | 囲碁関連

完本実録囲碁講談

中山典之 著 2003/4/16 発行 岩波現代文庫

日本棋院機関紙『囲碁クラブ』に1975年8月号から1977年正月号まで連載した随筆をまとめた『実録囲碁講談』(1977年日本経済新聞社)に、未収録の『囲碁クラブ』誌連載6話を加えて再編集し文庫化された本です。

プロ棋士として記録係として、様々な対局に間近で接して感じた事、先輩棋士の思い出、後進の人々やアマ棋士とのエピソードなど、囲碁とそれにまつわる人間模様を書いた18話が収録されています。中山典之六段は1932年生まれで、プロ棋士となったのが29歳であったということもあるのか、棋士としてというより物書きとして何かを伝えたいという雰囲気があり、ちょっと古風な文体の中にも独特の熱さがある語り口で、読み物としても面白いと思いました。
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by hitokohon | 2004-07-01 15:49 | 囲碁関連

囲碁の力

石井妙子 著 2002年10/21 発行 洋泉社新書

本因坊戦の観戦記者やNHKの囲碁講座の司会を務めた経験を持つ著者が、「囲碁って何だろう?」と興味をもった超初心者、あるいは通りすがりの見学者の様な人に向けて書いた、面白くてためになる入門書です。

「囲碁を打つ」「囲碁を知る」「囲碁を考える」の三部から成っており、技術的な入門編から囲碁の歴史、囲碁界の現状と展望を解りやすく伝えています。碁を打てるようにはならなくても、これ一冊でちょっとした囲碁通になれそうです。
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by hitokohon | 2004-07-01 15:47 | 囲碁関連