鉄腕アトムは電気羊の夢を見るか

布施英利(ひでと) 著 2003/3/15 発行 晶文社

今年夏、講演会でお話を聞く機会があって、布施英利さんという方を初めて知った。美術評論家として多数の著作があり、現在は母校の東京芸術大学で助教授もされている。専門は美術解剖学というあまり聞きなれない学問で、芸大を卒業した後に、「バカの壁」で今年注目の養老孟司さんに師事して解剖学も学んだという。

芸術家であり科学者でもあり、また人体を知る為に解剖も手掛けたというレオナルド・ダ・ビンチに興味を持っているというお話で、美術解剖学というものが少し解ったような気がした。そして、鉄腕アトムを見て育った世代でもある布施さんは、マンガ家であり医学者であり、未来を想い描いた科学者の目をも持った手塚治虫にも興味を惹かれたようだ。

この本は、映画「ブレードランナー」の原作でもある「アンドロイドは電気羊の夢をみるか?」( フィリップ・K・ディック著 浅倉久志訳 ハヤカワ文庫 )から、題名をつけている。私は映画も小説も見てないのだが、汚染され生物の少なくなった地球で、人工の電気羊しか持たない主人公が、本物の動物を手に入れるお金欲しさに、賞金の懸った逃亡アンドロイドを追いかけるお話しらしい。 アンドロイドでもある鉄腕アトムを通して、現代のロボット技術やクローン技術について語りながら、マンガというメディアを人間がどう認識しているかという事にも触れている、ちょっと面白いマンガ論でもある。

書店で見つけられた布施さんの著書はこれ一冊だったので、他は図書館で借りて読んだ。「絵筆のいらない絵画教室」(紀伊国屋書店、2000年)、「美術館には脳がある」(岩波書店、1996年)や、ちょと出版が古いが、コンピュータ・アートを評論した「電脳美学」(筑摩書房、1991年)なども面白かった。
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by hitokohon | 2003-12-01 00:00 | 漫画・アニメ関連
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