2016年5月の読書メーター
読んだ本の数:10冊/23冊 (後半5/16から) 崩壊する介護現場 (ベスト新書)の感想 取材はしたのだろうが、あくまで著者の見聞範囲内での偏った見方では、という印象を持った。私の母もグループホームで介護職員の方々のお世話になっているのが、皆さん人柄も良く一所懸命に仕事されている。日々それを目にしているので、読んでいて気分が悪くなって来た。確かに本書にある様な事実もあるのだろうが、何か偏見に満ちている気が。 最終章の後半で、介護職員の資格の問題、介護保険の制度的問題点と低賃金の関係などをあらためてまとめているが、この問題をもっと中心に語って欲しかった。
読了日:5月31日 著者:中村淳彦 きょうの日はさようなら (集英社オレンジ文庫)の感想 ポケベルから始まって、誰の回想かなと思ったらSF展開でちょっと驚き。家族会議もスマホでSNSに電子承認、支払もスマホでカードレス。過去と近未来を、通信機器やゲームに漫画で描き分けているのが面白い。それらのモノへの親和性が世代の違いや心情を物語って、家族親族の気持ちをつなぎ直すきっかけにもなって行く。じわっと心に訴える物語。作家買いでしたが、期待以上にいいお話でした。 読了日:5月30日 著者:一穂ミチ 君に届け 26 (マーガレットコミックス)の感想 主人公の親世代として物語を読み始めたが、気が付けば自分の子はピン先生の世代。もはや孫を見ている様なものだが、この子達の人との向き合い方に負けている。今時のリアル高校生はこんなにちゃんと人と向き合っているのだろうか。それが中々難しいから、物語の中の君に届いて欲しい思いに心惹かれるんだろうな、若い人もオバさんも。 読了日:5月29日 著者:椎名軽穂 最後の晩ごはん 旧友と焼きおにぎり (角川文庫)の感想 読んだのは電子版だが、書店で見た紙本の帯に「新章開店」とあったので、どんな展開になるのかちょっとドキドキ。イガ君も夏神さんも、過去の辛い出来事に向き合いながら、前へ進む勇気を持てる様になったみたいで良かった。時に人間の姿に見合った含蓄のある言葉を発するのに、基本子どもぽい感じのロイドが可愛い。 読了日:5月28日 著者:椹野道流 無私の日本人 (文春文庫)の感想 映画の予告編で「実は実話です」と言っていたので、何の記録に残っていた逸話なのかと思っていたら、原作はこの本だった。映画本編のエンドロールで知った。それにしても江戸時代の無名の人々の多彩さに驚き。災害や飢饉を除けば平和だった、戦の無い時代だったからこそ育まれたものだったのか、江戸時代の奥深さに感心。後世のためにこの人々の事績を書き残す思いを語った、著者あとがきも心に響いた。 読了日:5月26日 著者:磯田道史 あめつちだれかれそこかしこ 3 (アヴァルスコミックス)の感想 相変わらず人間くさくマイペースで、少しも神々しいくない年男さんと納戸さん。ほのぼのした話しの中に、家の神様として住人と共に在る情が生まれているんですね。八百万の日本の神様の中には、こんな神様方がいても良いな、と思える物語。 読了日:5月25日 著者:青桐ナツ 本当は怖ろしい日本国憲法の感想 国民主権、基本的人権の尊重、平和主義は現行憲法の三大原則。しかしそれを信じ遵守する事で世の中と個人は上手くやって行けるのか? 西欧から入って来た天賦人権思想は人を殺す事も認める無制限な人権という面があるというが、無闇に殺されない権利もあるはず。民主主義は革命で王族を処刑し、ヒットラーを国家のトップに選んだ。現在アメリカ大統領候補にトランプ氏を選ぼうとしているのも民主主義だ。だからと言って優秀なる指導者頂く国家が自然発生するわけでもない。読んでいてイラっとしてきたが、憲法について改めて考える一助にはなった。 読了日:5月23日 著者:長谷川三千子,倉山満 教団Xの感想 国家と宗教的なテロ組織、敵対している様で利用しあっている様な関係。理想と現実。より良き生き方と、生存と性の欲求との葛藤。自分に絶望しながら承認欲求から逃れられない人のエゴと、達観しながら理想を語る説教臭さ。性と暴力に絡め取られ身動き出来なくなる苦しさと、何か大きな力に縋りたい思い。世の中に真に正しい集団も個人もありはしない。何を選択し何処へ向かうのか、複雑で重い物語だった。楢崎くんの成長と芳子さんの受入れる姿勢に、ちょっと救われる。 読了日:5月23日 著者:中村文則 知らないと恥をかく世界の大問題 (7) Gゼロ時代の新しい帝国主義 (角川新書)の感想 アメリカ大統領選挙、ISのテロと難民問題、東北や九州の復興と心配だらけの東京五輪。これからの世界と日本の関わり、色々と気に掛かれども難しい。と言う事で池上さんの新刊を読んでみた。中東とイスラム教の事、為替など金融経済問題、わかりやすい池上さんの説明でも頭に入らない所はあったが、ISが生まれた元凶がブッシュ(息子)政権の軍事行動だった事や、世界の中のロシア・中国問題などはザックリとわかった。 読了日:5月20日 著者:池上彰 ワンダーリング (ディアプラス文庫)の感想 プロローグを過ぎ本編に入って「公営カジノ」が舞台で既読感、と思ったら「ノーモアベット」のスピンだったんですね。藤堂が懐かない名付け子を気に掛けるのはわかるけど、その雪が反発しながら抱く藤堂への気持ちは、ちょっとわかり難い。嫌よ嫌よも好きのうち、かもしれないが、何かそう簡単には理解し難く感情移入出来なかった。藤堂に対する想いより、後のお話の父子に対する雪の気持ちの方に惹かれるものがあった。 読了日:5月16日 著者:一穂ミチ 読書メーター
by hitokohon
| 2016-06-01 21:20
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